22 『超・真・贋』
22 『超・真・贋』 講談社 1997. 5

小説七作目。贋作をめぐるコンゲーム・ミステリ。
故桜井一(風間一輝)氏にお願いした装幀が素晴らしい。
おこがましい言い方だが、自分としては初めて小説作法と本気で格闘した所産である。無から有をつくりだすストーリーの面白さの内部に潜りこむことができた。
世界の贋作として話題をまいた「正安の壷」が衆人環視のなか、こつ然と消えた。それを所有していたのが、往年のハリウッドスター椿東洋。新聞には「怪盗、名優を盗む?!」の見出しが躍る。世紀の壷の行方をめぐって、怪盗ルパンならぬ怪盗板東苫三郎と、その幼なじみの警官、大物政治家、映画スターらがくり広げるゲーム感覚のミステリー。名調子の語りと劇画のノリで一気に読ませる。
東京新聞1997.8.3
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