平岡正明に関する七つのメモ2
『犯罪あるいは革命に関する諸章』1967初刊 1973.3大和書房
『あらゆる犯罪は革命的である』1972.1現代評論社
「引首」において、著者は《数年間の研鑽ののち、俺は犯罪評論家をなのるであろう》と宣言している。事実はそうならなかった。
平岡正明はディテールの描写に卓越した作家だ。彼の「犯=革テーゼ」の輝きは、ほとんどそうした細部によって支えられている。
犯罪事象は、ほんらい非体系的なものであり、それらを革命的契機にむすびつけることは不可能だと印象される。可能にするのは論理ではなく、犯罪の細部に分け入ることの出来る瞬発的なエネルギーだ。
世俗的な犯罪時評に関わりつづけるためには、七〇年代はふさわしい時代ではなかった。八〇年代はさらにそうだった。ーー平岡にとっては。
『犯罪・海を渡る』1973.4現代評論社
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