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平岡正明に関する七つのメモ5

平岡正明に関する七つのメモ5

『日本人は中国で何をしたか』1972.潮出版社 1985.7潮文庫

『中国人は日本で何をされたか 中国人強制連行の記録』1973.2潮出版社


 平岡の仕事のなかで、この編著の意味は検討されるべきだろう。
 強制連行の記録には、いくつかの類書がある。平岡はそこから、「奴隷叛乱」=窮民革命論に跳ぶ。帝国主義戦争の敗北をインタナショナルな永続革命論へと「揚棄」するレーニン主義的展望。そこからまた『水滸伝』へと夢は拡大していく。既成左翼はいうにおよばず、新左翼の誰もがとどき得なかった永久革命論である。
 その理論的「侵略」の羽撃きは、さらに、西郷隆盛、石原莞爾といった「右翼志士」のなかから革命論を「奪還」する路線にも向かった。七〇年代前半の「歴戦の跡」は、最近の『平岡正明著作集』上・下に整理されているので、参照するに便利だ。
 ただし、そこで解説者がいっているような「平岡本をバイブル」とする読み方にたいしては、強烈な違和感をおぼえる。

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