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平岡正明に関する七つのメモ7

平岡正明に関する七つのメモ7

『官能武装論』1989.2新泉社
「官能は武装であり、武装は官能である」(図書新聞 1989.3.18)という書評文を書いた。

 原理的には、だいたい言い尽くしている想いだった。これを眼にした『サンデー毎日』の吉田俊平が、えらく悦んでいたので、恐縮したものだ。
 とくに「ネチャ・コル」のところなど。
 このクダリに関しては、平岡さんは「おれはロリンズ派なんだけどな」と、ポツリと洩らしたことがある。そのさいの、珍しく少し照れたような表情が忘れられない。
 この本は、岡庭昇『身体と差別』を書評した(当の書評対象を超える分量の)書き下ろしを中心に編まれた。その解説を書いたのは岡庭で、数年つづいた岡庭=平岡タッグの最頂点(雑誌『同時代批評』の最盛期)をきざむものだ。岡庭解説は、平岡を「憑依の思想家」と規定している。わたし自身の書評もその規定を受け入れていたわけだが、今は、それは半分しか正しくない、と感じている。
 どう半解なのかーー。
 もどかしいが、ここでは展開できそうもない。


『平民芸術』1993.11三一書房
 これも「週刊読書人」1994.3.4 に書評している。記事の切り抜きを捜しさがして、ようやく見つけた。
「文化的翼賛」の惨憺たる様相をどうのこうのと嘆いているんだが、それから、早や三十年……。今はもう、惨憺を「空気」のようにとりこんで呼吸困難にもならず、生き延びている始末か。

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