×

朴壽南・朴麻衣『よみがえる声』

朴壽南・朴麻衣『よみがえる声』

2025.08.04 『よみがえる声』2025
 監督 朴壽南・朴麻衣  at ポレポレ東中野

 在日朝鮮人文学(あえてこの映像作品を文学の領域として受けとめる)が初めて達成した「母と娘の物語」。
 在日朝鮮人文学の主流は「父と息子の物語」を歴史のなかに刻みつけてきた。その凄惨と豊穣と深淵において、女性による多くの挑戦がそれらに優ったことはなかった。
 『よみがえる声』によって、この従来の構図は、根底からくつがえされる。
 朴壽南という岩盤のような存在。当惑とともに受け容れながらも、母(明らかに母以上の超人であるような生存)を伝達可能な映像「作品」としてまとめあげようとする娘の視線。
 異邦の地にマイノリティとして生きる母と娘。彼女らはその悪条件をのりこえる、一種普遍的な「母と娘の物語」をスクリーンに展開してくれた。

朴寿南パク・スナム[1936-]
『朝鮮・ヒロシマ・半日本人』 1973.08 三省堂

わたしは、この一冊より後の朴壽南の表現活動について、ほとんど知らなかった。
ここに遅ればせながら、訂正しておく。
『李珍宇全書簡集』 朴寿南編 1979.12 新人物往来社

コメントを送信