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54『占領を知るための10章』

54『占領を知るための10章』

『占領を知るための10章』GHQクラブ 汎世書房 2017.5

 この本を購入するには、どうしたらいいのか? 書いた著者当人ですらよくわからない、といった困った物件。マボロシの「本」は沢山こしらえたが、この一冊のようなケースは初めてだ。手元に亡くなったので探してみたら、さるサイトで定価の三倍以上の値段で、それも一点あるのみだった(8月27日の現状)。
 どうしてこんな「稀覯本」になり果ててしまったのか。

 GHQ.CLUBというサイトがある(あった)。
 版元としては、読者はこのサイトから購入すべし、という建て前をとおしたかったようだ。それが如何に「絵に描いた餅」だったことか。ブックレット形式の点数をどんどん増やしたい展望があったらしいが、いったい誰が書くんだって話だ。電子出版に幻想をいだくな、といいつづけたつもりだったが。

占領期を知るための名著 連載
http://ghq.club/great_book?paged=1

01回 三島由紀夫「女は占領されない」2015.05.20
02回 栗原貞子『黒い卵(完全版)』2015.08.03
3、4回 ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』2015.11.06、26
5、6回 柴田哲孝『下山事件最後の証言』2015.12.15、2016.01.01
07回 金石範『火山島』2016.01.15
08回 『占領期雑誌資料大系文学編Ⅳ』より金胤奎「ある父子」 2016.02.01
09回 勝又浩『「鐘の鳴る丘」世代とアメリカ』2016.02.15
10回 日高昭二『占領空間のなかの文学』2016.03.01
11回 『占領と文学』二冊 2016.03.15
12回 ガッサン・カナファーニ『ハイファに戻って』2016.04.10
13回 『現代思想』2003年9月号「占領とは何か」特集 2016.04.18
14回 ジョージ・パッカー『イラク戦争のアメリカ』 2016.05.10
15回 マイク・モラスキー『占領の記憶/記憶の占領 戦後沖縄・日本とアメリカ』1999 2016.06.01
16回 テッサ・モーリス・スズキ『北朝鮮へのエクソダス「帰国事業」の影をたどる』2007 2016.06.15
17回 ルート・アンドレーアス=フリードリッヒ『舞台・ベルリン占領下のドイツ日記』2016.07.15
18回 ルート・アンドレーアス=フリードリッヒ『ベルリン地下組織 反ナチ地下抵抗運動の記録(1938-1945)』 2016.07.15
19回 ハンス・ファラダ『ベルリンに一人死す』2016.08.01
20回 青木深『めぐりあうものたちの群像 戦後日本の米軍基地と音楽1945-1958』2016.08.15
21回 尹健次〈ユン・コンチャ〉『「在日」の精神史』 2016.09.01
22回 宋恵媛〈ソン・ヘウォン〉『「在日朝鮮人文学史」のために 一声なき声のポリフォニー」』2016.09.15
23回 林えいだい『清算されない昭和 朝鮮人強制連行の記録』2016.10.01
24回 林えいだい『松代地下大本営証言が明かす朝鮮人強制連行の記録』2016.10.15
25回 久生十蘭「母子像」2016.11.01
26回 沼正三『家畜人ヤプー』2016.11.15
27回 映画『カサプランカ』2016.12.01
28回 思想の科学研究会編『共同研究日本占領』2016.12.15
29回 思想の科学研究会編『共同研究日本占領軍その光と影』2017.01.01
30回 坂本義和/R・E・ウォード編『日本占領の研究』2017.01.15
31回 『本土の人間は知らないが沖縄の人はみんな知っていること 沖縄・米軍基地観光ガイド』須田慎太郎写真 矢部宏治文 書籍情報社 2017.02.01
32回 平野共余子『天皇と接吻 アメリカ占領下の日本映画検閲』2017.02.15
33回 松浦総三『占領下の言論弾圧』2017.03.02
34回 袖井林二郎『マッカーサーの二千日』2017.03.15
35回 袖井林二郎『拝啓マッカーサー元帥様 占領下の日本人の手紙』2017.04.05
36回 中薗英助『私本GHQ占領秘史』2017.04.18
37回 梶山季之『小説GHQ』2017.05.01

30回(予定変更) 児島襄『日本占領』
31回(予定変更) 竹前栄治『占領戦後史』
38回(予定) 袖井林二郎編『世界史のなかの日本占領』
39回(予定) 袖井林二郎・福島鋳郎『マッカーサー 記録・戦後日本の原点』
40回(予定) 週刊新潮編集部編『マッカーサーの日本』
41回(予定) セオドア・コーエン『日本占領革命GHQからの証言』
42回(予定) 『これからの琉球はどうあるべきか』
43回(予定) 『佐藤優の沖縄評論』

*** 40回分までを、プックレット『占領期を知るための10章』(2017.05)にまとめた。
以下は、未発表。

 ごらんのとおり、GHQ.CLUBというサイトにはアクセスできる。しかし、休眠状態になったのは、4年以上前のこと。いつまで「生きて」いるかの保証はないわけだ。

 著者としての責任もあるので、対策をこうじねばならない、と想う。方法は2つある。
 ①ブックレット形式にしたコンテンツのみ、著者の手で電子本化すること。これはそれほど難しい選択ではない。
 ②サイトに連載したコンテンツを、著者が運営管理するサイトに移動すること。ブログの引っ越しの少し面倒なコースだ。テキスト・ファイルも画像その他も手元にあるから、これもやれば出来る。しかし、こっちのほうが難関だ。GHQ.CLUBのデザインは、デザインだけは気に入っていた。この点、著者のスキルのおよぶところではない。あれ以上にはつくれない。

 両方やるのがいいのだが、精神的には負担大なので、考えあぐねている状況だ。

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